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記憶に溺れる魚

2015年 12月25日 21:28 (金)

誘われて夜の闇
ネオンの明かりを見下す睫毛
奪うだけ奪われる白とリップの赤
捨てられる心とおざなりな言葉
中途半端な既成事実じゃ君を縛り付ける事はできない
私だけ縛られ溺れる幻影
新宿 午後十時 降りかかるビルの光
君の顔はもう覚えていない
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そんな夢を見た

2015年 12月24日 19:00 (木)

世界の終わりを見たことはあるかい
傍観、ガラスの壁越しに見える赤と青のグラデーション
絵を描くように落ちる星のなれの果て
地面は震えもしないのに僕は立つので精一杯で
終末のラッパの音も聞こえない
世界の終わりは静かで
それでいてとても美しかった

流れた星の輝きを今でも覚えてる

2015年 12月22日 20:49 (火)

星みたいな関係だった
君と会って特に話してもいないのに夢中になった
僕の中だけで煌々と輝くその感情は
恋と呼ぶにはあまりにまっさらで
友情と呼ぶには少しだけ不純だった
もっと長く続くと思ったその感情は
冬の冷たさと心の弱さのせいで短くなってしまった
桜が舞って少し暖かくなってきたころに
見栄と過信と雪解けのように崩れた勇気のせいで
まっさらな感情は終わりを告げた
君はこの関係をどう思っていたのかなんて
僕には分からない
また光るならと願うだけで届かない

花嫁跡を濁し人魚姫

2015年 12月21日 17:02 (月)

笑う時のお前の口に砂糖をまぶしたパンを詰め込みたい
そのまま窒息して眠るお前にウェディングドレスを着せて
オリオン座が浮かぶ東京湾に投げたら
どれだけ美しい物語になるのだろう
お前が残す泡はどんなに綺麗なのだろう
浅い夢に溺れるお前の唇にコンペイトウを
臆病な僕はストーリーテラーにはなれない

午後六時だけが見ていた

2015年 12月21日 16:42 (月)

藍色の河原で聴く飛行機の音
髪を散らす風は冷たかった
この場所は私を一人にしてくれる
誰も私を見ていないと思わせてくれる
それが何よりもうれしかった
何よりも寂しかった

夜だけ私は自由になれる

2015年 12月17日 18:12 (木)

藍色の空と冬の話
オレンジとは程遠い東の朝
濃い水色で溢れ滲む夜
冷ややかな空気の作る白とかじかむ赤
袋を鳴らして家路へ急ぐ
太陽が隠れている間に
魔法が解ける前に早く

そうやってやっと生きている

2015年 12月17日 18:02 (木)

唇で奏でられる音色は意味を持たない
光を反射する瞳は何も見つめない
僕らの当たり前は偉い誰かの押し付けで
自分の価値は自分で決めろと笑う大人が
道化のように誰かの価値で動かされる
神様といえど他人なのであります
先人様といえど時代遅れなのであります

叙情

2015年 12月13日 05:18 (日)

取り出せないガラス玉の温度は零
溶け落ちる夏の色とラムネの味
皮膚を焦がす丸い光から目を逸らす
アスファルトの匂いが十五時を知らせる
失う寂しさが心に刺さる夏の空
掴めない視覚だけの雲に手を伸ばす
届かないのは知っている

捨てることは許されない

2015年 12月13日 05:10 (日)

何種類もの寂しさを混ぜて僕らは生きている
混ぜ合わせて孤独を誤魔化している
美しい人の口から流れ出る傲慢を知っている
能天気な人の白さゆえの弱さを知らない
差し伸べる手の黒色に気付かない
足りないまま僕らは生きている
埋め合わせながら満たされない心を抱えてる

一方通行

2015年 12月09日 02:36 (水)

頭を抱えた
何も聞きたくないです
何も見たくないです
心だけ吐き出させてください
人間ラジオになりたいです
録音機能だけ壊してください
電波だけ発信して
君にだけ聴いてほしい
耳を傾けて
精一杯発信します
何を言ったか忘れられてもいいのです
聴いてるだけでいいんです

魔法などないと大人は笑う

2015年 12月09日 02:27 (水)

甘いミルクに依存していた
震える手を止める君はいない
取り上げられた愛をなぞる目を
愛してほしいとすがる唇を
突き放して近づいて
こうしてまた一人になっていく
口内に放り込むビターチョコレートを
舌で押しつぶした
大人になってしまう

君の周りだけ春みたいだった

2015年 12月02日 22:56 (水)

恋をしている少女の頬の赤
あるいはコーラル
マフラーのタータンチェックは深緑
コートはベージュ
君の飼っているウサギの色
可愛い色の靴ですね
恋の色
踵から鳴る恋の音
冬は白だけじゃないの
そう教えてくれた

朝焼けに白鳥の声を聴いた

2015年 12月02日 22:50 (水)

甘い匂いが消えた十二月
秋の空気は冷たい風に運ばれた
雪は白いものだから
そう言った女の足元は黒ずんでいた
花の匂いが消えて
空が霞むのが冬だと言う
自分の温もりを信じられないで
他人から熱を奪うのが冬だという
泣きはらしたあの子の涙は
雪と似ているのに空から降らない
熱も心もない
白い鳥の声は朝の紫に溶けていく
こんにちは
さよならの温かさはまだいらない

黒いコートを着ていこう

2015年 12月01日 22:43 (火)

十二月の海を見に行こう
宇宙のような青を見に行こう
冷たい風を浴びに行こう
また死に近づこう

夢か現か幻か

2015年 12月01日 22:40 (火)

だるい体をベッドに沈めて
朧げに揺れる瞳をこらす
午前六時オレンジ色に染まる部屋
窓から差し込まれる鋭い光
魔法にかかったと思った
私の好きだった夕焼けの赤
暖かな祖母の背中
思い出すだけ
薄まるオレンジを見ながら
サヨナラと目を閉じた